先々週、暇潰しに立ち寄った書店で語学書を眺めていたら、白水社のニューエクスプレスに「日本語の隣人たち」というタイトルが加わっているのを発見。きっと中国語とか朝鮮語とかタガログ語とかの概要がまとめてある本なんだろうなーと思って手にとって見ると、ラインアップはなんとセデック語やらイテリメン語やらホジェン語といった美味しそうな連中ばかり。勿論即買いでした^^
それにしてもシベリアの言語+αを中心に斬り込んでくるとは、予想の斜め上過ぎるだろう^^; 確かに日本語の隣人たちだけども!まさかエクスプレスでこんなタイトルを目の当たりにするとは、夢想だにしませんでした。
肝心の中身ですが、セデック語(オーストロネシア語族、台湾)・ニヴフ語(孤立した言語、サハリン)・ホジェン語(トゥングース諸語、中国東北部)・イテリメン語(チュクチ・カムチャトカ語族〈異説あり〉、カムチャトカ半島)・サハ語(テュルク諸語、サハ共和国)・ユカギール語(コリマ・ユカギール語、ユカギール諸語、北東シベリア)・エスキモー語(シベリア・ユピック語、エスキモー・アレウト語族、チュコト半島・セント・ローレンス島)・ハワイ語(オーストロネシア語族、ハワイ諸島)の8つの言語が紹介されています。
エクスプレスの頁数にこれだけの言語の解説を詰め込んでいる訳ですから、当然各言語に割かれた頁数は少なくなっています(各3章20頁ほど)。しかしながら、日本では余りというか殆ど顧られていないこれらの言語に読者の関心を持たせる為には、これで十分のような気がします。小生もセデック語なんて初めて聞いたし。また、ちゃんとCDも付いていて、実際の音声を聴く事が出来ます。これって凄く貴重ですよね。
やたらマニアックな語学本の出版社と言えば今は亡き泰○社が思い浮かびますが、「日本語の隣人たち」の方はあんないかがわしい感じではなく、ちゃんと専門家の方が執筆しているので、薄いながらも重厚感があります。○流社の本は高価なだけで、信頼性も実用性も美的センスも皆無だったからなー。良い時代になったものです。
個人的にはちょっと唐突で、嬉しい驚き満載の「日本語の隣人たち」でしたが、この本で扱われているような少数言語にスポットを当てる試みは素晴らしいと思います。やっぱり語学書の棚は賑やかな方が面白いですからね。人間の世界はこんなにも多様なんだと、1人1人が知る事はとても大事だと思います。他にもニューエクスプレスにリトアニア語・ウクライナ語・アイルランド語・モンゴル語(予定)などが加わったり、言葉のかたちシリーズにクロアチア語とバスク語(!)が登場したりと、最近の白水社の語学本はやたら熱いですね。いいぞ、もっとやれ。
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